第3回 スポーツ事故の検証

ここで引用するモデルは、1992−3年に起こった、スキーの滑降競技の事故に関するもので、パラグライディングではありません。それも10数年前の古い事故なので、解決ずみかもわかりません。それをパラグライディングの議論に利用しようとするものです、不正確な引用で間違った点もある点は、意図的なものと善意で解釈して下さい。

 論文の著者は、長岡技術学大学の塩野谷明先生です。

様々な条件設定がされています。スキーヤーの体重は70キロと仮定し、滑降コースの角度と距離から、スキーヤーにかかる力を計算式で算出して、これを統御するのに必要な力を算出する、他方で、Wingateテストにより人間の瞬間的に出力される最大値を仮定する、これは実験値として示されます、そして危険回避に必要な時間を4.5秒とし、これも実験値と思われます、これらの条件を設定することによって、コース幅を最低30メートルにするという競技規則では、危険を認識してから180メートルも移動してしまうスキーヤーにとっては、回避が不可能だと結論づけておられます。

 パラグライダーには、機体に許容風速があります。この根拠について、例えば上記のような説明がほしいのです、モデルとしては、翼が大潰れ(片翼ずつの場合と、前縁が潰れた場合を、出来れば、わけて)を起こした場合の、フライヤーにかかる力、フライヤーが危険を察知して、取りうる行動、必要な時間、力など。

また、パラグライダーは、翼がつぶれるとき、バサバサと音を出すのかどうか?翼端の小さな潰れでも、音がするのかどうか?そういうフライヤーの方にとっては、なんでもないようなことが、実はよくわかっていないのです。仮に、パラグライダーの落下を目撃した人が、直前に、バサバサという音を2回聞いているとしたら、それは、片翼ずつの、大潰れが起こったため発生した音だと推論できませんか?前縁が潰れたときもバサという音がするでしょうか? 潰れから回復する時もバサと音がするのでしょうか?すると片翼が潰れて回復したときも、2度音がするとも考えられます(可能性としては)。しかし、目撃者が、その音で、音のする方向を見たら、パラグライダーは、両翼とも潰れて棒を縦にした状態で落下中だったとしたら、バサという音は回復した音ではなく、潰れたときの音、すなわち2度音がしたということは、左右片翼ずつ潰れたと、推定できることになるのではないでしょうか?

機体が大潰れから回復する機体だったか、大潰れから回復しない機体だったかについても、落下する際の翼の形から、ある程度推定できないものでしょうか?潰れてはいるが翼に残留空気が多い状態で落下する場合と、残留空気が極度に少ない場合をモデルとして検討してもらうのです。

そういう極端なケースが、モデルとしてあれば、事情聴取は、それを修正する形で行うことができ、図や動画を示しながら、落下の状況を事実に即して絞り込み正確に再現できますよね。

このような議論や検討が常々なされていれば、それが妥当であるかどうかは別として、告訴の早い段階から、機体は、潰れから回復しない機体だったという主張を掲げて告訴することが、可能となりますよね。




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