第2回 スポーツ事故

スポーツ事故は、新聞等で、その危険性が大きく報道されても、刑事事件になりにくいこと先ず認識する必要があるでしょうね。 特にJHFという日本を代表する団体の公式戦ということですと、業界即ちJHFの姿勢が尊重されます(私的自治の範囲)。被害者ないしその周辺にいる方は、警察に出向くなどして、捜査の進展を教えてもったり、JHFに出向いて被害感情を訴えるなどして、捜査が進むよう、協力を働きかける努力が必要でしょうね。告発は被害者でなくても出来ますので、有志の方が告発人になって支援するとことも有効と思います。受理された告訴の取り扱いは、県知事の県政の基本方針によっても左右されるそうです。地元紙の記者と連絡を取り合う事も有益です。

競技会の事故は、気象が悪かったことを原因とする場合が多いと考えられます。気象の問題は、競技会の進行係である競技委員長の安全配慮義務との関連で、事故原因と考えられます。現場付近の地理的気象的特殊性、危険性を予測すべきだったという主張になります。これには、パラグライデイングという競技会の仕組みや、主催者は誰か、競技の進行について責任を負う者は誰か、実行委員会と、競技委員長の責任、参加者の負う責任の内容範囲などについて内容を知るとともに、違法阻却自由だとか、許された危険とか、危険の引き受けとか、過失相殺とか、因果関係とか、自損行為(操作ミス)とか様々な法律議論を咀嚼する必要があります。告訴を決意されたなら、できるだけ素早く行動することが必要です。パラグライダーの競技会は、参加者が全国に散らばって存在されているようなので、警察が事情を聴くなどして捜査するには、関係者の出頭を求めるにしても、捜査官が出張するにしても、旅費等の費用もかかります。警察が弁護士作成の告訴状でないと受理しないと言ったり、被害届けだけでは、提出しても捜査は始まらないと言ったりするのは、限りある時間と人材を、有効に使い、効果的な捜査をしたいということでもありますから。

で、まあ、気象の判断について主催者の責任を犯罪であるとして,刑事で追及することの難しい点は、どこまで絞り込んでも、参加者自身が調査し判断することが可能だということです。競技ルールでもっと明確な規定をしたとしても、規則に違反して強行されたことを参加者は非難できない、飛行した選手もルールを守らなくてはなりませんから。

高山事件では、被害者が一級建築士の仕事をしながら、パラグライデイングをしていた方で、プロではありませんでしたので、競技会での生命の安全は、主催者の安全配慮義務によって守られるべきだったといえる、そういうお立場だったと思います。パラグライデイングの才能のある社会人が、パラグライデイングの振興のためにスカウトされ、危険な機体を提供され、宣伝塔として利用され、知らないうちに法の保護から外され、危険に晒されて行く事態だけは、どんなことをしても再発を防ぐべきことだと思っています。

で、パラグライデイングの競技の安全という問題から機体の安全の問題を避けることはできません。競技会主催者は、参加選手が危険な機体を使用しないよう機体を制限できるべきです。競技会での事故を避けるために必要な制限です。

パラグライデイングの素晴らしさだけではなく、その危険、その安全、即ち事故を減らすために必要不可欠な知識、パラグラダーの飛行と翼の潰れや落下のメカニズムを、中立的な立場で、簡単にわかりやすく記載した安全対策のためのマニュアル、初心者にも、スクール経営者にも、エリア設置者にも、プロにも、愛好家にも、デイラーにも、等しく役立つような安全のためのマニュアルつくりが必要で、それは、専門家と言われる方々も含め、この事件を支援してくださった方々の日ごろのご検討が必要と考えていまます。




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